場所のチカラ

様々な場所や景観などについてとりとめなく綴ります。

エコロジカル・デモクラシーとそれ以前のまちづくり、環境問題への取り組みの違いとは?

先日、Amazonからランドルフ・T・へスター著、土肥真人訳のエコロジカル・デモクラシーの本が到着!

 

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今までのまちづくり、環境問題への取り組みと何が違うか

まだ、イントロと中身をパラパラ程度しか読んでませんが、調べてみました。

ランドスケープエコロジー

 本文中に触れられているランドスケープエコロジーについては、武内和彦著の「ランドスケープエコロジー」や「環境創造の思想」などに書かれています。環境問題への取り組みの一つですが、個別に成果をあげていた地理学や生態学とは違い、はじめから大きな視野でもって包括的に考えると地域の生態が見えてくる、という考えなのですが、へスター氏によると、結局のところ、個々の研究に頼っているし、市民を無視して、トップダウンで決定する態度をとっていると批判的に語っています。

 

 では、エコデモでは、地学的、生態的な情報についてはどのような形で、市民の調理材料として議論のテーブルにのせているのかな?というと、「デザイン・ウィズ・ネーチャー」でマップのレイヤーで読み解いていったイアン・マクハーグだったり、「ジオデザインのフレームワーク」で、共同の仕方を示したカール・スタイニッツの流れ。決して、ランドスケープエコロジーが否定されているわけでなく、井手久登/武内和彦「自然立地的土地利用計画」の土台の上に進化してきているようです。

 

パタン・ランゲージ

 C・アレクザンダーの有名な考え方です。253のまちづくりの具体的方針パターンから成り立っていて、これが組み合わさり、市民の力で大きなものが出来上がるというものです。

 「設計の設計」という建築家などの方が書かれた本で、松川昌平氏が「加算的なデザイン」になるので「部分を総和しても全体にならない」と述べています。

エコデモでは、考え方としておおきく3つ(可能にする形態、回復できる形態、推進する形態)に分けられており、3つとも同時に実現することを目指すべき、となっています。それぞれが、かたちではなく、かたちの方向性を述べた言葉になっていること、同時に実現することで「全体」になっていくところが肝のようです。

 

ひとつの流れで、ランドスケープエコロジーとパタン・ランゲージが、組み合わさって、マクロなスケールからミクロ、コミュニティまで視野に入るようになっているのがすごいなあ。